家の近くの御殿山に、三河小野田セメント跡地があります。そこは新興の団地となり、若い世代の洒落た家がたくさん建っているのですが、その一角に残されているのがこれです。明治40年に作られたレンガで出来た徳利窯・・・・なのだそうです。100年以上前の過去の遺物なのですが、取り壊さない市の方針にすこしうれしさを感じています。


何が「とっくり?」と思いますが、元は徳利状の煙突で、先端部分が崩れて下のほうが残っている状態だそうです。今は夏で、雑草が生い茂っていますが、裏側はツタが少ないので、往時のレンガが見えています。
セメント徳利窯の前に置かれている看板です。



ここにセメント工場ができたのは、田原市中心部にある蔵王山麓で原料になる石灰石が産出したからです。建設資材として重要なセメント産業は、明治期に国策として発展しました。当時最新鋭の竪釜がこの「徳利窯」で、大正13年に、新しい回転窯に代わるまでの35年間、使用されました。経済の成長に伴って、セメントは造れば売れる時代が続き、ピーク時には田原市税収の7割を占めたとも言われています。地味な構造物ですが、ぜひ保存してほしいものです。
平成27年3月31日に、田原市指定文化財になりました。
アクセス
所在地 田原市御殿山、田原市中央公園に面した通り沿いにあります。